地域:埼玉県
劣等感の固まりだった私
大学卒業後、医薬品会社の研究部門に配属され、多忙な日々となりました。
仕事でもそれなりの実績を積んでいくなか、役職的な重要な席を任され、多くの部下も受け持つようになりました。
子どものころから、内向的でした。
本来は、読書をしたりするのが好きで、人と会うことは得意ではないし、好きではない自分でした。
また、自分の容姿に自信がありませんでした。
小学校高学年の時、学校からの帰り道、高校生の不良のような人たちの集団から、「おい、ブス」と言われたことがあり、それが強いトラウマになっていました。
”自分はブスなんだ”という劣等感をもちながら、生きていくことになったのです。
中学、高校と、周囲の女子は男子と交際したり、楽しそうに話したりしていましたが、私は”自分は恋愛とは無関係”と自分で決め込んでいました。
病気をきっかけに心境が変化
三十歳を超え、仕事も順調で、さらに大きな立場を任されることになりました。私の中では、「仕事が恋人」と割り切っていました。
働きに働きました。とても充実した日々でした。
しかし、ある日、めまいを覚えて、朝が起きられませんでした。
仕方なく、午前中は休みました。次の日も、その次の日も。
今まで感じたことのないような倦怠感に襲われ、何とか重い体を引きずって出社したものの、休憩室で休ませてもらうことになりました。
病院に行き、診察を受けたところ、過労が引き起こした神経性の疾患であることが分かりました。
医薬をつくる仕事に携わりながら、自分の無力感を思い知らされるとともに、長い人生を独りで生ききることへの不安が頭をもたげてきました。
ふと、”誰かがそばにいてくれたら”という思いがわいてきたのでした。
以前から思いを寄せてくれていた彼
私が体調を崩したときに、私のいない時の仕事の穴埋めに力を貸してくれた男性がいました。Nさんといって、とても真面目で、頼りになる私の部下でした。
仕事もでき、人柄もよく、それに、女の子にもモテるようで、すべてを兼ね備えたような、「デキる」男性でした。
そのNさんが、それ以前はそれほど懇意にしていたわけではないのですが、一時入院したときに見舞いに来てくれたり、仕事の報告をこまめにメールでくれたりと、何かと心を砕いてくれたのです。
おかげさまで、体調を回復して職場に完全復帰した後、Nさんから思いがけずも、食事に誘われたのでした。その場で正式に「交際してくれませんか」と。
私は驚きましたが、Nさんいわく、以前から、私に好意をもっていたと。
私が体調を崩したときに、いてもたってもいられなくなって行動したのだと。
私は、あっけにとられましたが、彼の情熱に押し切られるように交際を決めました。
恋愛によって「明るくなった」
社内恋愛ですから、気を遣うことは多いですが、一部の信頼できる上司にだけは報告してNさんと交際しています。
付き合い初めて1年になります。彼からも落ち着いたら結婚したい気持ちを聴きました。私も同じ思いです。
女性として劣等感の固まりだった私。しかし、Nさんのように、私を情熱的に好きになってくれた人もいたのです。
そして、そのとき私は、もっと自分から胸を張って、劣等感なんて吹き飛ばして行動すればよかったかなとも思いました。
一方で、そうしていれば、Nさんと交際することもなかったなと。
Nさんと付き合うようになって、明るくなりました。
私たちが付き合っていることを知らない同僚、部下たちも、「私さんは変わった。若々しくなった」なんて言います。
恋愛は人をみずみずしくさせ、前向きにさせるのだと思います。