地域:滋賀県
出会いを求めない生活
私はそこそこ裕福な家庭に育ち、何不自由なく暮らしていました。
姉は2人いますが、2人とも結婚して家を出ているため、両親にとって私は唯一家に残った娘でした。
元々、過保護気味の母親の愛情は、家に残った自分に注がれ、食事の世話や家事のほとんど全てを母親が行いました。
私は仕事をすれば良いだけの生活。
休みの日には、趣味に没頭したり、お給料は全て自分のために使いました。
姉の1人は、実家の近くに住んでおり、度々2人の息子を連れて実家に遊びに来ました。
私は、この甥っ子を可愛がることで、自分も子育ての良いところだけを体験することができました。
こうして、彼氏はいないものの、自由で楽しい生活に満足し、積極的に出会いを求めることはありませんでした。
周りの変化と自分の変化
両親は、県外に住む長女の子供たちと、実家の近くに住んでいる次女の子供たちをとても可愛がっていました。
スマホに送られてくる写真を見ては『かわいいねー!』『大きくなったね!』と嬉しそうに見ていました。
『孫は4人もいるからもう十分。』と私に結婚や出産を急かしてくることはありませんでしたが、『私が生んでも嬉しいんだろうな』と思うようになりました。
そして、生まればかりの赤ちゃんだった甥っ子が小学生になり、姪っこが幼稚園に通いだし、その母である姉たちはお母さんとしても、奥さんとしても頑張っているし、仕事にも復帰しているという状況に、『この数年間何も変化してない自分はいったい何をやっているんだ』と焦るようになりました。
脱・彼女にしたくないタイプ
姉に『彼氏がほしいと思っている』と相談することにしました。
元々はっきりものを言うタイプの姉は『あんたは一般的に彼女にしたいタイプではない。』と言いました。
さすがに傷つきましたが、30過ぎて両親にチヤホヤされる実家暮らし、家事も料理もほとんどできず、かといってバリバリのキャリアウーマンでもなく貯金もない、これは事実でした。
取りあえず、魅力的な人間になるべく家事と料理を始めました。
恥ずかしながら、全てを母親に任せていたため、このとき初めて家事や料理の大変さを知りました。
そして、今まで面倒だと断っていた、飲み会などの誘いに参加するようにしました。
すると、視野は広がり、交遊関係も広がっていき、職場の男性と仲良くなり、告白され、お付き合いをすることになりました。
気持ちの変化
彼氏ができて変わったことは気持ちの変化です。
『いなくても楽しい』これも事実でしたが、誰かに必要とされることはとても満たされた気持ちになりました。
姪っこ甥っ子は相変わらず可愛いですが、自分の子供はもっと可愛いのかな?』という今までにない感情を持つようになりました。
そして、自分が生まれ育った家族ではない他人と生活する、時間や空間をを共有するということが、自分の中に選択肢として入りました。
食べてもらえる人がいるので、家事も料理もやる気がでました。
そして、年を取った両親が安心していることに気づきました。
『結婚はしてもしなくてもいいよ』と言っている両親ですが、自分達がいなくなったあと、家族のいない私を心配してくれていたのだと改めて思いました。