
愛知県
女子校で過ごした私の無味乾燥な毎日
中学、高校、短大と同じ系列の女子校で育った私は、家族以外の男性、それも若い異性とは全く接点もなく、話をしたこともありませんでした。
通学途中の地下鉄などで、見かけることはあっても、話をしたこともありませんでした。
当然、触れ合う機会などないのです。
自宅のそばの共学の学校生活が、まるで異世界でとても羨ましく、いつも横目で眺めていたものです。
女子だけの学生生活は、異性の目を気にすることもなく気楽ではありましたが、女性特有の人間関係の閉塞感に息が詰まるような時もありました。
クラスメートの中には、積極的な子もおり、しょっちゅう彼氏が途切れないタイプもいましたが、私は、地味で顔も大したレベルでもなく、あか抜けないイモっぽい外見、更に自分からアピールなどできない消極的な性格でした。
華やかな短大クラスメートのライフスタイル
そんな、私も短大に入学し、あいかわらず、女子だらけの毎日でしたが、周りの影響もあり、オシャレすることに興味を持つようになりました。
そのころ、流行っていた女子大生向けファッション雑誌などに、同級生たちが時々、載っています。
素敵なキャンパスライフが紹介されていたりします。
中には彼氏とのツーショット写真なども掲載している子もいました。
せっかくの若い時代、二度と来ないこの年月を無駄にしたくないと、私は自分のビジュアルを磨くようになりました。
メイクも念入りに研究し、ヘアもそのころ流行ったサイドを後ろに流したロングヘアにするなど、自分を一番魅力的に見せる方法を模索し続けました。
そうした努力が実ったのか(?)町を歩いていても、ナンパされるようになりました。
合コンの誘いもかかるようになります。自分に自信が出てきました。
そして、男の子と付き合ってみたいと考えるようになってきたのです。
頑張っても縁がない時は無いものなのです
どうしたら、男性との良い出会いがあるかなと、考えていたところ、友人から、他大学のインカレサークルに入らないかと誘われるようになりました。
あまり、多数の人間が出入りする場所は好きではありませんでしたが、友人も一緒ということだし、これも一つの経験、共学の大学の雰囲気を味わってみることも悪くはないなと気楽に考え、私の短大からそんなに遠くはない国立大学の社交ダンスサークルに入りました。
かなり、大所帯のサークルで、幽霊部員も合わせれば、100人くらいはいるようです。
他校の女子大生もたくさん参加しています。なぜか、この国立大学の女子の在籍は一人だけでした。
男性部員はみな、優しく接してくれますが、女子は学校ごとに固まっているだけで、互いに交流はあまりしません。
サークルですから、みんなと分け隔てなく交流する姿勢を持たないといけないので、少々疲れます。
変にカップル同様の雰囲気を作る部員たちはいづらくなり、辞めていきました。
思ったより、楽しく過ごせないことが分かり、数か月で退部を決めました。
そこへ、友人の兄が紹介してあげるという話が入ってきました。
何もしなくても、縁のある人はやってくる
ある日の授業後、私の学校の近くのカフェで、紹介された男性に初めて会うことになりました。
私より1つ年上の大学生でした。
地味な見た目で、個性はないどこにでもいるような人です。
しかし、よく話す人です。
彼の注文したコーラはすぐ空になっていました。
内容はどうでもいいことばかりです。
その後、遊園地にいきましたが、話疲れたのかボーッとしています。
私も特別強い印象を彼には持たなかったので、そのままお別れしました。
数日経った頃、紹介してくれた友人が彼に電話してやってくれと言うのです。
先日のお礼を言ってやってくれというのです。
言われるまま、電話をしました。
すかさず、相手は映画に誘ってきました。
それから、ほぼ、1週間ごとにデートが始まりました。
告白もしない人ですが、これは彼氏なんだろうなとぼんやり認識をするようになりました。
なぜか、この人といると、心は落ち着きます。
最初の日ほど、おしゃべりな人ではありませんでしたが、色々なところへ連れて行ってくれました。
そして、二人でいつも、ぼーっとします。
そのうちに結婚をし、いつのまにか数十年が経っていました。

